パニック障害と「予期不安」:次の発作を恐れる心のメカニズムと整体の役割

パニック発作は、何の前触れもなく突然、激しい恐怖や身体症状に襲われるつらい体験です。この強烈な経験が引き起こすのが、「予期不安(よきふあん)」と呼ばれる症状です。「またあの発作が起こったらどうしよう」「次はいつ、どこで発作が起きるのだろう」といった、次の発作への強い恐れが、日常生活に大きな影響を及ぼします。

この記事では、パニック障害の中核症状とも言える予期不安がなぜ起こるのか、その心理的・生理的なメカニズムを解説し、症状の緩和に役立つ可能性のある整体のアプローチについてもご紹介します。


目次

予期不安とは何か?パニック発作が引き起こす心のワナ

予期不安は、一度パニック発作を経験した後に現れる、「再びパニック発作が起こるのではないか」という持続的な不安のことです。実際に発作が起きているわけではないのに、その可能性を常に警戒し、恐れている状態を指します。

この予期不安が強くなると、人はパニック発作が起こりやすいと感じる場所や状況を避けるようになります。これが広場恐怖へと発展するケースも少なくありません。例えば、以前発作が起きた電車に乗れなくなったり、人ごみを避けるようになったりするなど、行動範囲が著しく制限されてしまうことがあります。

なぜ予期不安が生まれるのか?脳の「誤学習」

パニック発作は、私たちの脳が「危険だ!」と誤作動を起こすことで引き起こされます。この誤作動を司るのが、脳の奥深くにある扁桃体という部分です。扁桃体は恐怖や不安を感じ取る司令塔で、本来は本当に危険な時に警報を鳴らします。

しかし、一度パニック発作を経験すると、扁桃体は「あのつらい身体症状や恐怖感」を強く記憶します。さらに、記憶を司る海馬が、発作が起きた場所や状況(例:電車の中、会議室、スーパーなど)を「危険な場所」として強く関連付けて記憶してしまいます。

この脳の「誤学習」こそが、予期不安の根源です。関連付けられた場所や状況に近づいたり、考えたりするだけで、扁桃体が過剰に反応し、「また発作が起こるかもしれない」という警報を鳴らしてしまうのです。理性的な判断を担う前頭前野の働きが弱まっていると、この警報を抑制しきれず、不安がさらに増幅されてしまいます。


予期不安が身体に与える影響:「いつでも臨戦態勢」な自律神経

予期不安は、単に「心配」しているだけではありません。脳の興奮は、私たちの体を無意識にコントロールしている自律神経系に影響を及ぼし、様々な身体症状を引き起こします。

自律神経には、体を活動的にする交感神経と、リラックスさせる副交感神経があります。予期不安が強い状態では、常に交感神経が優位になり、「いつでも発作が起きてもおかしくない」という臨戦態勢が続いてしまいます。

この状態が続くと、以下のような身体症状が出やすくなります。

  • 心拍数の上昇、動悸: 些細なことで心臓がドキドキしたり、脈が速くなったりします。
  • 呼吸の乱れ、息苦しさ: 呼吸が浅く速くなったり、息が詰まるような感覚に襲われたりすることがあります。これは、体内の二酸化炭素濃度に敏感になっているCO2過敏性が関係している場合もあります。
  • 筋肉の緊張、震え: 全身の筋肉がこわばり、肩こりや首こりがひどくなったり、手足が震えたりすることもあります。
  • 発汗、めまい、吐き気: 常に緊張状態にあるため、汗をかきやすくなったり、血流の変化でめまいや吐き気を感じたりすることもあります。

これらの身体症状は、予期不安によって引き起こされたものですが、患者さんにとっては「発作が始まる兆候ではないか」とさらに不安を募らせる原因となり、**「身体の錯覚」と「悪循環」**に陥ってしまいます。まるで、自分自身で恐怖を増幅させているかのような状態です。


予期不安の克服に向けて:治療と整体の可能性

予期不安は、パニック障害の治療において重要なターゲットとなります。適切なアプローチによって、その症状を和らげ、日常生活を取り戻すことが可能です。

専門的な治療法

  1. 薬物療法: 予期不安の軽減には、脳内の神経伝達物質のバランスを整える抗うつ薬(SSRIなど)や、一時的に不安を抑える抗不安薬が処方されることがあります。これらは扁桃体の過活動を抑制し、脳の誤学習を修正する手助けとなります。
  2. 認知行動療法(CBT): 予期不安の克服に非常に有効な心理療法です。
    • 認知の修正: 「発作が起きるかもしれない」という破局的な思考や、身体症状への誤った解釈に気づき、より現実的で適切な考え方に変えていく練習をします。
    • 曝露療法: 避けていた場所や状況に、不安を感じないレベルから段階的に慣れていく練習(段階的曝露)を行います。例えば、最初は短時間だけ電車に乗ってみる、少しだけ人ごみに身を置いてみるなど、安全であることを身をもって体験し、脳の誤学習を上書きしていきます。

整体は予期不安にどう役立つ?

整体は、予期不安やパニック障害の直接的な治療法ではありませんが、心身のバランスを整え、間接的に症状の緩和に貢献する可能性があります。

  1. 身体の緊張緩和: 予期不安によって常に体がこわばっていると、それがさらに不安感を高める悪循環につながることがあります。整体によって、首、肩、背中、骨盤などの身体の歪みを整え、筋肉の緊張を緩めることで、深いリラックス状態を促します。
  2. 自律神経の調整: 身体的なリラックスは、過敏になっている交感神経の活動を鎮め、副交感神経を優位にする手助けとなります。これにより、興奮しがちな自律神経のバランスが整いやすくなり、予期不安による動悸や息苦しさといった身体症状の軽減につながることが期待できます。
  3. 身体感覚への意識: 整体の施術を通じて、自分の身体の感覚に意識を向けることで、過敏になっている身体症状を客観的に捉えるきっかけになることもあります。

ただし、整体は医療行為ではないため、パニック障害や予期不安の根本的な治療を目的とするものではありません。整体の利用を検討する場合は、必ず精神科や心療内科の医師と相談し、補助的なアプローチとして活用するようにしましょう。


予期不安と向き合うあなたへ

予期不安は、パニック発作のつらい経験から生じる自然な反応です。しかし、この不安に囚われすぎると、あなたの生活はどんどん狭まってしまいます。

大切なのは、予期不安のメカニズムを理解し、適切な治療とサポートを受けることです。一人で抱え込まず、専門の医療機関に相談することから始めてください。薬物療法や認知行動療法に加え、整体のような身体的なアプローチも、心身のバランスを取り戻す手助けとなるでしょう。

予期不安を乗り越え、より自由で充実した日々を送るために、一歩踏み出しましょう。

当院では、腹部や背骨、骨盤周囲、首や頭蓋の施術を行うことで
脳脊髄液の循環を改善し、自律神経の乱れを整える施術を行い
精神的ストレスに対する対処法もできるようになるので
再発しない環境を作ることができます。

毎週金曜日21時からzoomでのぐっすり熟睡ストレッチで
寝る前に自律神経を整える環境も作るサポートを行っております。

お気軽にご相談ください。

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森田カイロプラクティック
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